●20001212 充電しないと充電できないコードレスホンの謎

困った事が起きた。
家にあるS0NY製のコードレス電話機の子機がバッテリ切れで使用不能となってしまった。
お陀仏なのか?

コードレスホンのバッテリ切れなんて滅多にないのだが、この電話機は引っ越し後3ヶ月程使用していなかったため、その間にエンプティになってしまったようだ。

通常、子機は充電台に置いとけば充電されるはず...気長に3日ほど待ったがそれでも充電されない。

この子機を調べてみると、充電台からの電力を供給するための電極が無い。そう、電磁結合式である。
この方式は最近では珍しく無くなり、実家にあるブラウンの電動歯ブラシもコレである。

多分この方式に不具合の原因が隠されているのではと大体の見当はついているが、保証期間がとうの昔に過ぎ去ったことだし、早く中身が見たいので、とりあえずバラしてみた。

子機本体はトルクスネジで締められていて分解されるのを拒んでいるようだ。
あいにくトルクストライバは持っていないので、いつもの通り、小さなマイナストライバで廻してあげた。

こういった特殊ネジはマイナスドライバで回ってしまう事が多く、こうも簡単に外せるとなるとその存在価値は無いに等しいのではないか?

でもネジ止めだからまだマシな方だ。最近ではACアダプタと来たら接着剤でビッチリと密閉されているのである。

壊れることはないだろうと余程自信があるのか、果てまたPL法に引っかかるのを恐れているのか、修理を前提に作ってないのである。

しかし、実際はハンダクラックなどくだらない原因で良く壊れるのである。ACアダプタにはACのソケットが直にハンダ付けされていて、抜き差しを繰り返しているウチにハンダクラックとなる。
修理をするにはハンダを少し流せば復旧する些細な問題であるのだが、修理不能のためユーザは新品を買わされる羽目になり数千円の出費となる。

脱線した。電磁結合式のために充電台、子機本体ともコイルが見える。
こいつを使って子機に電力を供給している。
プローブが付いているところがコイル

2次コイルに電圧が誘起されているかオシロで確認してみると...
160KHz, 20Vp-p程度
なんだ、出てんじゃん。
・・・しかし充電されないのはどうしてか?

私は頭の回転がヒジョーに鈍いため30分ほど悩んだのだが、次の疑問がふと沸いて来た。

この子機は『充電台に置かれた』、『充電台から取った』ということをどうやって判断しているのか?
多分コイルの電圧を監視しているのでは無いだろうか?

ということは、コイルの電圧を監視するためには電源が無いと出来ないようになっていて...
その電源はというと...バッテリしかなさそうである。

バッテリをちょっと充電してあげればバッテリが充電されるのではと考えた。
(ヘンな言い回しだね)

リチウムイオンバッテリを充電することは、女性を扱うがごとく細やかな気配りが必要であることがココで紹介されている。しかしニカドは男性的であり、多少の過電流は平気である。
この電話機で使用されているバッテリは幸いなことにニカド(2.4V)である。

2.4Vに対応した充電器は手元にないので、スイッチング電源の5Vを直に接続。
10秒ほど充電してあげた。スイッチング電源は電圧降下を起こし、苦しそうだったが10秒の辛抱だ。

そして電話機にセットしてみるとどうだろう。充電ランプが点いた。

結局、この子機は充電されていないと充電できない代物であることが判明した。
しかし、コイルから電力が供給されているのだから、バッテリの電力を使わずにコイルのからの電力で充電回路をブートすることは技術的に可能だと思うのだが設計者はそこまで気が利かなかったのだろう。

何も知らないユーザは、ニカドバッテリを買い換えるに違いない。古い電池は最悪ごみとして捨てられることになる。
今回はニカドを捨てずに済んだから、環境に優しいことをやったという気分でちょっとした幸福感。

ニカドバッテリにはカドミウムが含まれているため、その辺に捨てたら環境汚染になる。
不要になったらリサイクルへ。

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